スキル習得は3つの段階を経て上達するとされています。
①認知的・意識的段階
②感覚と運動連合段階
③自動化の段階
バスケットの中では、
①認知的・意識的な段階では、ボールの持ち方を知り、シュートの構えや、打ち方を覚えるといったような基本的な知識や動作が習得されます。この段階においては全体運動としてのリズムがおかしかったり、エアーボールになるなど動作としては大きな間違いがみられます。
②の感覚と運動連合段階になると、基本的な動作の習得が進み、動作の大きな間違いが減ってきます。しかし、動作が十分に安定するという段階には達していません。例えば、動きの入ったシュートは難しかったり、相手との駆け引きの中でのシュートは安定しません。中学生に多い段階です。
③の自動化の段階になれば、動作自体に注意を払うことなく、安定したパフォーマンスを達成できるようになります。そのため、相手のプレイに応じた戦略を立てる余裕が生まれます。試合の中での駆け引き、とっさの対応が取れるようになり、多様なプレイが可能になります。
育成年代の選手の中では、プロの選手やトップ選手に憧れて練習を繰り返すが、なかなかそのような選手になれないということにストレスを抱えることがあります。これは誰もが通る道であり、このストレスを抱えながら努力を続けられるかどうか、正しい動作を学び、圧倒的に繰り返し練習できるかどうかが、③の自動化の段階のスキル習得に関わっています。
トップ選手とのギャップに耐えられず、やめてしまう選手も多いです。私たちはこういった選手を一人でも少なくしたい。多くの選手に努力をしてスキルを身につけて、成功体験を積んでほしいと思っています。
スキル習得には時間がかかるため、コーチが現在地と目的地を明確にして、選手を導くことが重要だと考えています。