上腕の角度

GRITのコーチ岡崎です。
これまで6年間、育成年代の選手たちにバスケットボールコーチとして、バスケットボール教室を600回以上開催、400人以上の選手のコーチやレッスンを行ってきました。

以前、腕の向きの議論(リングに正対しない)を解説しました。(『ストレートシューター』参照)

今回は腕を上下どのような角度で打ち出していくのかを解説します。(左右の議論ではなく上下の腕の角度)

腕の伸ばす方向
どの角度で伸ばしていくのが理にかなっているのか?

私自身、打ち出しの角度は高ければ高いほどループが高くなり良いのではないかと思っていましたが、サポートしていただいている理学療法士と一緒に研究をする中で、体の仕組みを分析するとそうではないようです。

特に筋力が少ない育成年代のシュートに関しては無駄がなく、ブレが少なく安定する体(肩)の使い方をする必要があります。

わかったことは、最も安定する肩甲骨と上腕の位置関係があるということです。

それは『ゼロポジション』と呼ばれます。

ゼロポジション でのインパクト


ゼロポジションは野球やテニスなどの競技では議論が多くされており、スポーツ障害の予防の観点からも一般的なものとなっています。これは、1961年に整形外科医によって発見された、腕を脱臼や骨折などをしてしまった患者にあまり資金や手間(手術)をかけずに治療するために見つけた肢位の事であるとされています。

定義は、肩甲棘(けんこうきょく。肩甲骨の後ろの棒状のでっぱり)と上腕骨が、ほぼ一直線上になる肢位のことで、肩甲骨の棘突起と上腕骨の長軸が一致し、肩周辺の筋収縮力が均等になり、自発的な筋力発揮では回旋運動が不可能になるポジショニングの事である。


??よくわかりませんね。。(笑)
ざっくりと要約して、シュートに関係のある部分を取り出すと、力を最大限発揮できる上、最もコントロールしやすくなりポジションのことです。

そして肩周りの画像を見てみましょう。

上の画像のように、肩関節の安定性に関わるインナーマッスルには、棘上筋、棘下筋、小円筋、(肩甲下筋)があります。

テニスやピッチング、バレーなどもゼロポジション においてインパクトをとっています。この瞬間には関節に付随する筋肉や腱などにかかる力が分散されており、不要なねじれがなくなり、力が均等に発揮されます。


ゼロポジションは個人差が大きいので練習をする中で見極めていく必要があります。目安としては頭の後ろで手を組んで、リラックスした状態で肘を伸ばしていくとおおよそのゼロポジションになるとされています。

ゼロポジション

以上の結論として、
ループをあげようとして極端に上腕を上に上げすぎることや、
飛距離を出そうとして前に伸ばそうとするようなフォームは安定しないということが言えます。

科学的に無駄のないフォームを目指すことによってより効率的に成長していくことができます。また、育成世代の選手は筋力や体格の変化に合わせてシュートを変化させていくことが必要とされるので、自分の体の仕組みや理論を持っておくことが将来の変化に対応し、成長につながると考えています。

トップ選手のリリース時もゼロポジション になっている。