シュートフォームを作っていくなかで、「未完成」と「間違い」の違いを理解していく必要があります。
「未完成」なフォームで打つのは、悪いことではありません。
選手は身長、筋力、関節の柔軟性、腕や足の長さなどに合わせてフォームを作っていくことが重要だと考えています。具体的な例としては、筋力の小さい年代の選手が打点を低くすることで筋力不足を補う。他にも、 ジャンプの最高点ではなく、途中でリリースするジャンピングシュートやジャンプと同時に打ち出すセットシュートで飛距離を出していくことなどがあります。
「間違い」なフォームというのは、正しいフォーム(真っ直ぐに飛ばす、足の力をボールに伝える)の裏返しになります。
具体的な例としては、足から生まれたエネルギーをボールに伝えるまでの間に無駄な動きがあり、エネルギーロスが大きい。 同じように、体の各部のタイミングがずれて、ボールが飛ばない。エネルギーロスが大きく、ボールが飛ばない分を力むことでボールを飛ばそうとする。 また、体の向きや関節の使い方などが理にかなっておらず、左右にずれる。
ちなみに間違ったフォームで多いのは、体をひねる動作を伴った、プッシュパスのようなシュートです。(右利きのワンハンドシュートなら、右足と右肩が左足よりも後ろの状態から、ひねって前に押し出す動き。) このシュートを育成年代から繰り返すと修正にはかなり時間がかかります。
バスケットボールのシュートは繊細な動作です。これは、箸を使って食事をする動作や、鉛筆を持って字を書いていく動作と同じようなレベルです。他の競技で例えるならばダーツや弓道のような動作の再現性が求められます。
そのため、『力み』はコントロールを失う大きな要因になります。足から生まれた大きな力をボールに伝え、それを真っ直ぐ打ち出していく。この原則さえ満たしているのであれば、育成年代の未完成なフォームは問題になりません。
(原則の見極め方と、どうすれば理にかなった打ち方ができるのかというのが難しいのですが。)
育成年代の選手は体の変化に合わせてシュートのフォームが変わっていきます。毎年フォームが変わっていく選手も少なくありません。その際に、フォームが安定しないことにストレスを感じるのではなく、『未完成』、『間違い』の認識をして、『良い』、『悪い』が正しくフィードバックできるようになると、自信を持ってシュートを打てるようになります。