スピードと正確性

一般的な話になりますが、動作の速度が増大すると正確さが低下するとされています。科学的には「スピードと正確性の相反性」と言われています。

この原則でよく語られるのはテニスのサーブであったり、野球のピッチャーの動作などです。バスケットボールのシュートについても同じことが言えます。
ゴール付近でのベーシックレンジでのシュートはゆっくりとした動作で確認しながらリリースすることができますが、3Pのシュートの場合には体の各部を連動させ素早く動かす必要があります。

どの動作にも共通していますが、スピードを強調すると、パフォーマンスは安定せず、誤差や失敗が増えてきます。しかしながら、バスケットボールの長距離のシュートのスキルは動作のスピードを上げることでボールをより遠くに飛ばせるようになります。そのため、正確性だけでなくスピードも要求されるため、それらを両立させていく必要があり、育成年代の長距離のシュートを安定させるには時間がかかることがわかります。

次に近距離でシュートを安定させることが、長距離のシュートに直結するのかどうかということについて議論します。

バスケットのシュートなどの多関節を使う動作においては、遅い動作(近距離)と速い動作(長距離)で作用する関節間力の大きさがかなり違うことがわかっています。そのため、遅い動作が安定したからといって、速い動作が安定するとは限りません。

一方で、タッチや細部など、正確性が高いレベルで求められるようなスキルでは速さに重点を置いて練習をすると個々のタッチがおろそかになるだけでなく、悪い癖がついてしまうことがあるとされています。

上記の2点を考慮して、具体的に練習を組み立てる際には、
近距離でのシュートの型では指先のタッチやキャッチにおける手の感覚、バランス等を確認し、
積極的に長距離のシュートの練習を行いながら関節間力を含めた体の使い方を覚えていくことが重要です。

このメニューのバランスや組み方にコーチの力が求められます。